2024年に「レシピー for School」を導入、今年で2年目の運用に入る日本大学鶴ヶ丘高等学校。オーストラリアの姉妹校への短期留学をはじめ、国際理解教育にも力を入れている同校の山内智史先生に「レシピー for School」を導入するに至った経緯や、その効果などをお聞きしました。
——日大鶴ヶ丘高校は海外での語学研修や留学のプログラムが充実していますね。
国際的な感覚を身につけてもらうためのプログラムは多いですね。夏に行われるオーストラリア・ニュージーランドの語学研修は20年ぐらい前からありますし、最近ではカナダへのセメスター留学(1学期間留学)も開始しました。また、当校はUPAS (University Pathway Admission Service:海外の大学が学内の多様性を高めるために設けた、日本人学生を対象とする特別入試制度。単位を認めて高2で留学し高3で帰国する)認定校でもあり、フランスからの留学から帰ってきた生徒もいますし、この夏からデンマークに行く生徒もいます。海外への留学だけではなく、生徒が「何かやりたい」と思ったらそれをバックアップする土壌がある学校です。
——日々英語の授業を行う中で、何か課題を感じられていましたか?「レシピー for School」導入を決められた背景はどのようなものだったのでしょうか?
当校は総進コース(日本大学に内部進学するコース)と特進コース(他大への進学を目指すコース)があって、私はどちらの英語の授業も受け持っていますが、コースが違うと授業の内容も変わるので、準備や評価に時間がかかるという現状がありました。また、当校の英語課の方針として、読む、聞く、書く、話す「量」をとにかく確保したいという考えがあります。しかしそのためにその都度新しい教材を買うのも予算的にも現実的ではないなと。そこでオンライン英会話を含めて何か良いICT教材がないか探している時に「レシピー for School」(以下「レシピー」)に出会いました。生徒の音読を点数化・見える化してくれること、オリジナルの素材をアプリに落とし込める自由度、英検コンテンツが入っていること、アプリ自体の使い勝手の良さ、そしてなにより毎日新しい英文ニュース記事がアップされることで「量」が確保できる、というところに魅力を感じ、導入を決めました。値段感が手頃だったのも大きかったですね。
——実際に使用してみていかがでしたか? 感想を教えてください。
私たちの授業ではまとまった分の英文を読ませた後に生徒に音読をさせるのですが、今までは時間的に全員分の音読チェックができないというのが悩みでした。「レシピー」ではAIで生徒全員の発音の判定ができて、評価にまでつなげることができるので助かっています。またライティングも同様で、全員分の英作文の添削という地獄の作業(笑)も、ある程度「レシピー」に任せることができるのがとても良いです。教師の負担がだいぶ軽くなりました。
生徒の音読やライティングはAIが評価。理画面でその内容を確認できる。
——どのようなシーンで「レシピー」を使用しているのでしょうか?
当校には朝のホームルームで10分間新聞を読む活動があるのですが、そこでいろいろある新聞の中の一つという位置付けで「レシピー」でニュースを読ませ、内容理解問題を解かせています。また、英語で読んだ時事問題を「探求」の時間で深掘りしていくという流れにつなげたりもしています。配信する記事はSNSについてなど高校生にとって身近なトピックや、教科書でやったトピックに近いものを選んでいます。そうすると生徒も興味を持って取り組んでくれるようです。授業では、単元の最後の「仕上げ」に利用しています。内容理解をして、音と意味をつなげての音読が終わった後に、どれだけきちんと発音できているかを確認するためですね。みんなレシピーをやっている時の方が普段よりはっきりと発音しています(笑)。ちなみに、ただ単に「家でやっておいてね」だときっとやらないので、授業内で、部分的に織り込んで使っているところが運用面の工夫です。
写真:日本大学鶴ヶ丘高等学校 山内智史先生
——導入前と導入後で生徒さんたちに何らかの変化がありましたか?
まず「発話量」をはじめ、すべての「量」が増えました。インプットはまだしも、アウトプットを増量させるところまではなかなか先生の力だけではできないので、これは導入して良かった点ですね。まだ導入2年目なので、はっきりと数字の変化などは言えないのですが、つい最近自分の高2のクラスでは8人中5人が英検2級に合格しました。自分の感覚としては、高2の7月時点と考えれば、まずまずの結果が出ていると思います。右肩上がりに成果が出ているような感覚はあります。また、自分の音読が採点されるということ自体が面白いので、みんな楽しそうにやっていますね。授業が終わった後に生徒同士で「何点だった?」みたいな話し声が聞こえてきたり。英検コンテンツを自主的にやっている生徒もいて、英語に対して前向きになっていると思います。「レシピー」には英検準1級のコンテンツもあるので、2級に受かった生徒には「レシピーで準1級のやつ見てごらん」と声がけしたりしています。
——「レシピー」の「世界のニュースで英語を学ぶ」というコンセプトについてはいかがでしょうか?
たとえば「連日真夏日を記録」というようなニュースをテレビなどで見て知っている状態で、それに関連した記事で学習する場合、ある程度背景を理解した上で興味を持って取り組めます。時事的なもので英語を学ぶ利点はそういうところにあると思います。また、教科書の英語は結局作られた英語なので、ニュースで「本物の」英語に触れることができるのも良いところです。「レシピー」の「世界のニュースで英語を学ぶ」というコンセプトは、当校の国際的なプログラムとも親和性が高いと思うので、そこにもつなげられたらいいですね。
毎日更新される最新の英語ニュースから素材を選ぶことができる。
——ポリグロッツのサービス体制についての感想や、今後「レシピー」に期待することがあれば教えてください。
サポートのレスポンスは抜群に早いですし、こちらの要望もできるだけ反映してくださるのでありがたいです。今後「レシピー」に期待することとしては、音読だけではなく、自分の言葉でスピーキングが続けられるAI英会話機能が充実すればいいなと思っています。現状、たとえば「What did you do last weekend?」 と聞いても「I went to Shibuya.(以上)」 で終わってしまうので(笑)、その後が続くような仕掛けがあれば最強ですね。